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【風】剣(ソード)のスート

剣のスートは、四大の中で【風】のエレメントを象徴しています。
勿論、【地】の項でもご説明した通り、我々が五感を通して感じる風は、【地】のエレメントに属するものに宿って現れたものです。
四大のエレメントの中で、直接的に触れることが出来るのは【地】のエレメントに属するものだけであり、他の三つのエレメントについては、【地】のエレメントに宿らない限りは、見る事も触れる事も出来ません。
しかし、他の三つのエレメントについても考える事や、感じる事は出来ますし、その性質や作用について考察する事も出来ます。

さて、【風】のエレメントに属するものとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
まず一番大切なのは、【情報】です。
【情報】自体には形が無く、見る事も触る事も出来ないのですが、その【情報】を元にすれば、可視有形のものを仮想的な世界の中で擬似的に再現することが可能となります。

ここでまた、コンピュータを例えに使ってみましょう。
コンピュータと言う精密なシステムを構築する為には、様々な要素が必要となります。
少し専門的な話で言えば、コンピュータ構造の基本概念となる【アーキテクチャ】、コンピュータを機能させる為に必要な【論理作用】、コンピュータに処理させるべき【情報】、そしてコンピュータそのものである【ハードウェア=物理媒体(ディスプレイや論理回路・主記憶装置・ハードディスク)】が必要になります。
例えば、コンピュータで簡単な建築物のCGを作るとしましょう。既にコンピュータが有ると仮定しても、CGを作るには、マウスやキーボードを使って様々な情報を入力しなければなりません。情報が揃えば、その情報に従ってコンピュータの処理が始まり、仮想的な建築物が構築され始めます。その結果、ディスプレイ上のCGとして、その建築物を目にすることが出来るようになるでしょう。
少し難しい言い回しになってしまいますが、つまり【情報】とは、なんらかの存在の実態を示す、不可視無形の素材だと言うことが出来ます。
例えば、とある人物に関連する【情報】の全てを入手する事が出来たと仮定しましょう。そうすると、その人物が実際には目の前に居なかったとしても、その【情報素材】を組み合わせる事によって、その人物の全体像を再現する事が可能になります。
これが【風】のエレメントに属する【情報】の特徴です。

【情報】には、他にも様々な特徴・性質が存在しています。
まず、【情報】とは一箇所に留まる性質のものではありません。必要に応じて、様々な方法で、様々な場所へと行き渡ります。【情報】の持つこの性質を【伝達】と呼びます。
例えば会社組織などで、開発部のプロジェクト、運営陣の運営指針、営業部の成績、生産ラインのスピード等の【情報】が社内で行き渡らなければ、会社は上手く機能せず、場合によっては崩壊してしまうかも知れません。
【情報】は、その発生源から離れ、他の場所へと移動してこそ、その真価が発揮されるのです。
また情報は、何かしらの【媒体】に宿らなければ存在する事が出来ません。
代表的なものは【言葉】です。元々は不可視無形である【情報】を、我々が扱えるようにする為に【言葉】へと変換する事によって、はじめて対象に伝える事が出来るようになります。その為、【言葉】も【風】のエレメントに属する事になります。
この【言葉】には幾つかの種類があります。代表的なものが【声】と【文字】です。
【声】は【音】であり、空気を振動させて相手の鼓膜を響かせる事よって、情報が伝わる事になります。
【文字】の場合は、不可視無形の【情報】を【文字】として起こし、その【文字】を目から光学的に受け取る事によって、その【文字】に込められた【情報】を引き出す事になります。
【声】や【文字】の他にも、【ジェスチャー】や【点字】と言ったものも、【情報】を伝える媒体であるという意味から、すべて【風】のエレメントに属する事になります。

但し、ここで注意が必要になります。
我々が五感を通じて感知するものは、すべて【地】のエレメントに属すると言う原則については既にご説明しました。その為、本来であれば【音の振動を耳で感知する】と言うのも【地】のエレメントに属する事であり、また【文字を目で光学的に感知する】と言うのも【地】のエレメントに属すると言う事になるはずです。
これは、次のように考える事になります。
【文字】自体は【地】のエレメント。【文字】の【情報を伝達する作用】は【風】のエレメント。
【地】以外の三つのエレメントは、そのすべてが【作用】や【性質】【概念】と言った、目に見えず、触る事の出来ない要素として捉える事になるのです。

さて今度は、【風】のエレメントが【剣】のスートによって象徴される理由について考えてみましょう。
勿論【剣】そのものが【風】のエレメントそのものと言う訳ではありません。
しかし、【剣】自体が持っている性質や作用は、【風】のエレメントの性質や作用を理解する上で、とても大きな助けとなってくれます。
【剣】は原則的には武器であり、敵を切り倒す為の道具です。
しかし、タロットを始めとした西洋オカルトの観点では、【剣】は対象を支配し、その存在を縛り付ける為の道具であると考えます。
【剣】の持つ破壊的な力は、対象となる存在に『死』をもたらす程のものである為、対象に強い恐怖心を与える事が出来ます。その脅迫的な意味合いから、【剣】を突き付けられた対象は、【剣】の持ち主に従わざるを得ません。つまり【剣】には、相手を【支配】し【束縛】する力がある訳です。
この【剣】が持つ【支配】と【束縛】の能力は、【情報】や【言葉】にも見られます。
例えば人が生まれた時、その人に特定の名前を付ける事によって、その人は【自分を特定する名前】に縛られる事になります。
勿論、名前を付ける事自体は決して悪い事では無いのですが、このように、何者かに【情報】を与えられると、その人はその【情報】によって縛られ、以後の選択肢が限定されてしまう事があるのです。
【言葉】も同じです。
例えば、身近な人物に対して『このペンを持って』と頼んだと仮定しましょう。恐らく天邪鬼な方でなければ、快くペンを持ってくれるでしょう。この時点でその人は【言葉】に支配され、行動したことになります。
当然の事のように思えるかも知れませんが、本来であれば人間は、自分の意志によって選択と行動を自由に行う事が出来るはずです。しかし【言葉】を使う事によって、相手の意志に介入し、その人の選択や行動をコントロールする事が出来てしまいます。
身近な人に対して『このペンを持って』と言うのは、【支配】に比べてより穏やかな【依頼・頼み】と言ったレベルのものです。この【物事を頼む】と言う姿勢は、【剣】を鞘に収めたまま、平和的に交渉しているようなイメージです。しかしこれが【命令】ともなると、【剣】は鞘から抜かれ、相手に突きつけられたような状態になります。更に、【命令】する事によっても相手がコントロール出来ない場合は、その【剣】によって相手を切り伏せる事により、相手の抵抗を撃破し、完全に【支配】する事になるでしょう。
これが【剣】によって象徴される、【支配】と【束縛】の作用です。そして、ここが最も大切な所なのですが、【剣】で人を殺せるように、その扱い方によっては【言葉】や【情報】によって人を殺すことも出来てしまいます。
その為、【剣】で象徴される【風】のエレメントは、とても慎重に扱う必要があるのです。

さてしかし、【剣】で象徴される【風】のエレメントは、そんなに殺伐とした性質・作用ばかりではありません。
医者は、人を殺す事が可能な『刃物』を用いて、病気の患部を切り取り、治療することが出来ます。また【言葉】を用いて、人の心を癒す事も出来ます。
【風】のエレメントは、人を【支配】したり傷付けたりする性質や作用も持ちますが、同時に問題を解決したり、人を癒すと言う性質や作用も持っているのです。

【情報】や【言葉】を用いて、相手を支配したり、相手を癒したりすると言うのは、魔法・魔術における基本的な原理の一つ。魔法や魔術の世界で使用される【呪文】と言うのは、【風】のエレメントが持っている性質や作用を活用する技術体系の事なのです。

【風】【剣】【ソード】
言葉・文字・音・匂い・味・表現・情報・メッセージ・コミュニケーション
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【東】【朝】【春】【楽】